7.ケア現場で行う車いす利用者の座位姿勢への配慮

(1)適切に座っているかどうかの確認方法
どれほど体に合った車いすを製作しても,きちんと座ってもらわないと効果を発揮できません。着座直後は,骨盤を回旋せずに,座奥まできちんと座っているかどうかを確認してください。骨盤が回旋しているかどうかは,左右の方の高さや前後の位置,膝の前後の位置で確認することができます。
また,着座ののち,本人の身体を前方に倒して,お尻と車いすの隙間を確認することで,座奥へ着座できているかどうかが確認できます。

(2)ズボンのひきつれやしわ直し
移乗の際,本人のズボンを持って行うとズボンがひきつれたり,しわができたりします。
ひきつれ,しわ直しの方法としては,立位が取れる方であれば,手すりなど安全に立ち上がれるところへ
移動して,立ち上がって直した後,もう一度座り直してもらいます。
立ち上がりができない方に対しては,片側ずつ体重を傾け介助者が支えながら,体重をかけていない側の
ズボンのひきつれやしわを直します。その際,倒す側のアームサポートが着脱できると介助しやすくなります。

(3)除圧の方法,座り直しの介助
どんなに体に合った車いすやクッションでも,その方の体力以上に座位時間が長い場合には,姿勢が崩れたり,褥瘡のリスクが高まります。褥瘡予防のためには,除圧が必要となりますが,本人ができない場合には,その介助を行う必要があります。
簡易な除圧方法としては,前屈してテーブルなどにもたれさせます。逆にキャスターを挙げる方法もあります。その時,介助者が椅子に座って,介助者の膝に本人の頭を乗せると本人も介助者も楽にできます。
姿勢変換機能付き車いすの場合は,ティルトやリクライニング角度を大きくすることで,体圧分散をは図ることができます。
褥瘡や皮膚の状態のアセスメントを行える職種に確認を取りながら,除圧の頻度や方法を決めることが大切です。
自身で姿勢を変えることができない方の場合,最低1時間に1回は,除圧介助を行ってもらうことが望ましいといえます。