6.個別離床プログラムとケアプラン

安定した座位姿勢の確保からすれば,スリングシートの折りたたみ車いすは移動用として利用し,目的の場所では,それに合わせた椅子に移るのが理想です。現在は椅子機能の高いモジュラー車いすが日本でも導入されるようになり,利用者の身体寸法や使用目的に合わせた調節が可能になってきました。椅子とモジュラー車いすを併用することで高齢者の日中の離床時間が大幅に延長できると言えるでしょう。

認知症のある高齢者では,立ち上がり能力が残存する場合,移動は車いすで行い,食事や休息は身体機能に合った椅子を用いることが安全性を高める上で重要といえます。
褥瘡リスクが高い場合は,座面のクッション性の高い椅子を導入して,理想的には15分に1回程度姿勢を変えることが望まれます。
一般的には,座位能力に問題ない場合でも,1時間程度で姿勢変換やトイレなどへの移動を行う必要があります。1回の座位時間が1時間安定するということは,3回の食事が座位で行えることにつながります。食事は椅子に乗り換えて行い,休息をリクライニング椅子でとることにすると,日中ベッドにいる時間が軽減されます。